人生後半戦のキャリアパス~職住隣接の働き方の課題とは

人生後半戦のキャリアパス~職住隣接の働き方の課題とは
人生後半戦の新しいキャリア
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組織内でのキャリアアップとは異なる、在宅ワークならではの新しいキャリア形成の可能性と課題について考えてみました。

私のキャリア観と実態

「キャリア」は、キャリアパス、キャリアプラン、キャリアアップなどの用語で使われる。キャリアとは経験、経歴、出世などを包括的に意味し、仕事経験が豊富で「できる人」をイメージさせる。

もっと簡単に言えば、組織内での出世、報酬アップ、組織外での知名度などが目標となる。これらを得るための具体的な制度がキャリアパス、計画がキャリアプラン、次の段階に進むのがキャリアアップである。

名誉や知名度、役職や報酬に関心のない人は、キャリアを意識することもないし、むしろキャリアを否定して実力を重視するようになる人もいる。報酬だけは上げたいという人はキャリアアップには向いていない。

私もサラリーマンをしているときはキャリアパスやキャリアアップに関心があったが、そのためには組織内の学歴や実績、そして組織閥に属さなければならないのを知って無関心になった。

勘違いしてはいけないのは、私がこのように思い込んだのであって、すべての人に当てはまるとは限らない。人生後半戦を迎えて、組織で働いたことのある人なら見聞きしたことはあるだろうが。

在宅ワークでのキャリア形成

組織内でキャリアを積むには、他の人から、特に上司からの評価が良くなければならない。社会的にキャリアアップするのなら、社会的に知名度の高い組織に属するか、栄誉のある賞を取るのも方法の1つだ。

実力主義や成果主義の中でキャリアアップしようと思うのであれば、客観的な評価も重要だが、それ以上に主観的評価、著名人の高評価がポイントになったりする。

このように考えると、在宅ワークでキャリアアップを目指すのは難しく、多くの時間を要するだろう。このことだけを考えると、キャリアを積むには向いていない働き方であるといえる。

その代わりに、組織内で働くよりも自由度は高い。時間的にも、場所的にも、人間関係も自由度は高い。しかし、経済的な自由度には限界、もしくは制約があることは理解しておく必要がある。

人生後半戦になるまでに経済的にキャリアパスを積んできたのなら、在宅ワークも選択肢の1つになる。経済的キャリアパスが十分でない人は、年金頼りのライフプランを守り続けたほうがいい。

リスキリングと人生後半戦

近年、「リスキリング」という用語をよく耳にするようになったし、講師として打診されたこともあった。リスキリングとは、新しい考え方ではなく、キャリアパスの変更による能力開発や再研修、再教育なのだ。

例えば、ICT(情報通信技術)についての再研修を行っても、操作は覚えられるかもしれないが、仕事を任せることはできないだろう。なぜICTが重要なのかという本質を理解することに時間をかけていないのだ。

他のリスキリングも目的を理解し、仕事を任せるのは定年になって、リスキリングを生かすことはないかもしれない。本当に必要なのはリスキリングを行う優秀な指導者なのである。

そのためには外部から招聘するよりも、組織内の人材から抜擢し、業界や職種の重要性を教えながら、リスキリングすることが適切だと考えている。

人生後半戦にリスキリングを行うことの重要性を解説する情報もあるが、個人的には手遅れだと思う。人生後半戦になる前に、それも短期間ではなく数年かけて行うべきだと個人的には考えている。

リスキリンングは40代から始め、50代にはリスキリングの効果が出るようなキャリアパスを作るべきだろう。リスキリングは重要だが、人生後半戦からでは遅いのだ。

在宅ワークで欠けていた視点

同じように、人生後半戦に在宅ワークで仕事をするのも無理がある。この働き方では1人で完結できる仕事の仕方が要求される。それは他者の協力やチームワークなしにということではない。

対面で直接のネットワークで、他者と得意不得意を補完しながら仕事をするのではなく、ICTを用いた間接的なネットワークで分担された仕事を1人で完結するという意味である。

在宅ワークというと個人で小さな仕事を行うことが基本になるが、ネットワークを使うことによって、大きな仕事の一部を担うことも可能であるという理解がまだされていない。

そのためには自分で分担された仕事を完結できるというキャリアが必要なのだ。組織内で助け合いながら仕事をする方法もあるが、助け合いがなくても仕事ができることがキャリアアップの証となる。

私も在宅ワークをするようになって、自分に欠けていた視点を切々と感じている。今はAIをアシスタントとして仕事をすることで助けられることの有難さがわかるようになった。

これから職住隣接を目指すなら、新しい働き方に適したキャリアパスも考えたほうがよいと思う。

職住隣接物語