仕事と生活のコミュニケーション~職住隣接の人間関係

仕事と生活のコミュニケーション~職住隣接の人間関係
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職住隣接時代の人間関係は、仕事と生活の境界があいまいになり、コミュニケーションの取り方に戸惑うことも多くなります。

コミュニケーションが変わる

自宅で仕事をする場合の呼び方に「在宅ワーク」と「在宅勤務」がある。ワークと勤務の違いは、ワークを仕事に置き換えるとわかりやすくなる。

「在宅ワーク」は、自分自身で事業を行っている場合でも、組織に所属している場合に用いる。一方の「在宅勤務」は、組織に所属している場合に用いると本ブログでは分けて使っている。

自宅で事業を行っている場合でも在宅ワークとなるので混乱を招いてしまう。そこで自宅で事業を行うことを「在宅ビジネス」と呼ぶようにする。

近年では副業や兼業が公に認められる傾向にあるので、組織の仕事と自分の仕事を自宅で行うこともありえる。コミュニケーションの方法だけでなく、人間関係の構築や維持の仕方にも大きな影響を与える。

在宅ワーク、在宅勤務、在宅ビジネスの人間関係とコミュニケーションを考えてみよう。

在宅ワークでの人との関わり方

前述のとおり「在宅ワーク」は自宅で仕事している場合を指すので、人間関係は仕事関係と個人的な関係に分けられる。

仕事関係の人間関係は、仕事の提供者(上司や同僚)との関係と、顧客や取引先との関係に分けられる。また、個人的な人間関係には、家族と家族以外の関係がある。

コミュニケーションの方法も、これら4つに共通する方法と共通しない方法がある。在宅ワークで戸惑ったのは、自宅への訪問者への対応である。特に地域のコミュニティでは対面のコミュニケーションが多い。

仕事関係のコミュニケーションでは、離席しているときに連絡があってもすぐに対応できないことがある。たとえそれが、子育てや介護に関わることで離席していても容認はされない。

コミュニケーションの方法も相手によって選ばなければならない。同じ用件でも、ある人は電話で、ある人はメールで、ある人は対面でというようにだ。想定していたよりも手間と時間がかかった。

在宅勤務での組織との関わり方

「在宅勤務」の人間関係は、組織のルールに従って、指示・報告・連絡・相談を行うことになる。この点だけを考えれば、口頭が少なくなり、メールなどのテキストでの連絡が多くなる。

対面での口頭のコミュニケーションと違い、相手の反応がすぐにわからない。動作や曖昧な表現では伝わりにくいため、多くの場合、電話での連絡に頼ることになる。

人間関係も間接的なコミュニケーションが続くと、必要のないことは情報として交換しなくなる。特に仕事以外の場面では、一緒に食事をしたり、休憩をとったりすることもなくなるので交流は少なくなる。

このような状態をデメリットと考えるのは組織側であり、従業員側はデメリットと考える人もいれば、メリットと考える人もいる。ある程度は必要だという人もいるが、ある程度の範囲は人それぞれである。

メリットとデメリットの中間の対応策として、週1日の出勤を義務付けるなどのルール化をする組織もある。しかし、業種や職種、組織の方針、個人の考え方が異なるため、すべてを満たす方法を見つけることは難しい。

在宅ビジネスでの関係構築

在宅ビジネスの場合は、自宅での勤務状況を明示しない限り、相手は仕事環境や状況を知ることができない。

したがって、在宅ビジネス(副業兼業を含む)場合は間接的なコミュニケーション、メールやチャットツールなどで行うことが適している。時間差のコミュニケーションが前提となる。

在宅ビジネスの場合は自分でコミュニケーションのルールを決めることができるのが、在宅勤務とは大きく違うことだ。

そのためには、コミュニケーションツールの操作や使い方、マナーを学ぶことは必要であり、これも仕事のスキルの一つと考えれば、自己成長の機会になるだろう。むしろ、次の項で取り上げる個人的な人間関係やコミュニケーションが課題となる。

個人的な付き合い方

自宅で仕事をするということへの理解は以前より深まっているが、仕事中かどうかは店舗や事務所を構えたり、仕事中と表示しない限りはわからない。

私にも苦い経験がある。地域のコミュニティの集会が午前中に設定されていたり、懇親会への出席を要求されたりと、丁重にお断りしても「家にいるんだろ」と言われたことがある。

また、子育てを行いながら、介護を行いながら仕事をしている人に、急ぎの仕事は頼めない。そのような気遣いなしに仕事を受けてしまって、窮地に陥ったという話もしばしば耳にする。

個人的な人間関係では、しばしば無理を押し通せると考える傾向がある。「多様性、公平性、包括性」という考え方が広まってきているものの、実際の生活では均一で平等という考え方をする人のほうが多い。それが私の実感である。

人間関係だけで仕事が成り立たないように、生活においても人間関係とコミュニケーションを学ぶ必要があるのではないだろうか。時代とともにコミュニケーションの方法も作法も変わっているのだ。

人間関係とコミュニケーションは習うより慣れろなのか

人間関係とコミュニケーションを学校で習うのは、敬語や丁寧語などの言葉遣いや、団体行動として習うか、部活や生徒会などの自発的な行動で学ぶしかない。専門科や情報科目で学ぶこともあるが、実社会での実践とは大きく異なることが多いだろう。

社会に出て、まず教育を受けるのが、あいさつや儀礼的ふるまい、名刺の出し方や受け取り方などがある。笑顔の作り方は教えてくれるが、どうしたら相手から自然な笑顔を引き出すには経験を重ねる必要がある。。

人間には個性があるので、決まりきった人間関係のルールはない。家庭教育で人間関係を学ぶには、家庭環境によってもかなり違いがあることを意味する。

コミュニケーションは人間関係を作ったり、維持したりするのに欠かせない。コミュニケーション能力を伸ばす方法はたくさんあり、様々な方法で伝えられている。

職住隣接に必要な能力とは

人生後半戦になって、職住隣接という在宅ワークを行うようになって人間関係やコミュニケーションに対して気づいたことが2つある。

1.人間関係は狭い人間関係を広げることよりも、広い人間関係を絞っていくこと
2.コミュニケーションは伝える能力だけでなく、受け取る能力も必要だということ

この2つが重要であり、職住隣接を行うにはこの能力がある人ほど適しているのかもしれない。

職住隣接物語