仕事とプライベートとの切り替え~自分にあった境界線を引く
仕事とプライベートの切り替えをどのようにしたらできるかを試行錯誤した結果です。私は形から入りました。
在宅で働くとは
職住隣接において、最も重要な課題は仕事とプライベートの切り替えである。従来の職住分離を前提とした働き方では、通勤という物理的な移動が両者の境界線となっていた。
しかし、在宅で働く場合、この境界線を自分で引く必要がある。まずは「在宅で働く」という形態を正しく理解することから始めよう。
「在宅で働くことを表す用語」を整理してみよう。
1.在宅ワーク:自宅で働くこと、個人事業主や会社員など勤務先は問わない
2.在宅勤務 :自宅とは別に職場がある人が自宅で働くこと
3.テレワーク:通信環境を使って働くこと、インターネット経由が多い
4.モバイルワーク:外出先など移動可能な状態で働くこと
5.ノマドワーク:特定の場所ではなく、適宜場所を決めて働くこと
職住隣接の基本的な考え方
これらは「自宅以外の職場で働くこと」と比較して用いられる。働く場所だけではなく、労務管理全般に関わってくるので、細かな労働条件を指すものではない。
例えば、自宅に医院を併設しているお医者さんや、自宅に工房を接している職人さん、自宅敷地と農地が接している農家さんなどは、在宅ワークではなく、職場に住んでいるような気もする。
結論は、本人がどのように考えて、仕事と生活を分けているのかということになる。この区分けの仕方が、職住隣接での成功を左右する重要な要素となるのだ。
公私の分け方(オフィシャルとプライベート)
「公私」の意味は、公(おおやけ)と私(わたくし)、公的なことと私的なことと説明される。公的な仕事と私的な活動、もっと簡単に言うと仕事と生活となる。
英語では以下のように表現されるが、いまひとつわからない人も多いと思う。
public(公的な、公共の)⇔ private(私的な、個人の)
official(公的な、公式の)⇔ personal(私的な、自分の)
辞書によれば、official ⇔ unofficial(非公式)、social(社会的)common(共通の)⇔ personalとなる。
英語をカタカナ語で使うときには注意しようということにしかならない。
見えるところから変える
要は、仕事で保有するものを生活に用いてはならないということだ。例えば、仕事時間に私用の電話をかけたり、業務用の車を私用で使ったりしてはいけないなどだ。
実際には、就業時間外に仕事の電話がかかってきたり、私服であるスーツを会社で着用している。理屈で考えると際限がない。個人事業では、公私混同しなければ仕事はできないと思う人もいるだろう。
結論は、他の人から見て、仕事上なのか、それとも仕事上でないのかを明確にするということになる。例えば、仕事用とプライベート用のメールアドレスを使い分け、仕事の連絡は仕事用メールでのみ行うようにだ。
私の在宅時の仕事と生活の分け方
私の在宅時の仕事は、仕事スペースとして使っている部屋でしか行わない。仕事関係の本を読むときも仕事スペースでである。また食事は仕事スペースでは行わないことに決めている。場所で変えるのだ。
仕事スペースに入る時間帯は、起床時間が夏と冬で異なるものの、一定の時間に決めている。夏は7時から13時まで、冬は8時から13時までだ。夕方に1~2時間ぐらい仕事をすることもある。
服装も夏と冬では異なるが、夏は濃い色のTシャツやポロシャツ、冬は明るい色のフリースを着ている。ビデオ通話を要求されてもすぐに対応できるようにするためである。パジャマでは仕事をしない。
もうひとつ仕事モードへの切り替え
もう1つマイルールがある。仕事を始めるときのルーチン(ルーティン)がある。軽くストレッチすることと、コーヒーを飲み、仕事用のBGMをかけることだ。これが一番重要かもしれない。
形から入ることも大事だが、いかに早く自分の気持ちを仕事モードに持っていくかが、その後の仕事の進み具合にも影響する。仕事モードになれば、あとは仕事のリズムに乗るだけである。
ひとりで働いていると、他者から見られているという意識がないので、自分の気持ち次第である。
自分の気持ちを仕事モードに変えるには、気持ちだけに頼らずに環境を変えるようにしている。例えば、仕事スペースの照明は昼光色、生活スペースは電球色と、光の色で空間を区別している。
ひとりだからこそ労務管理をする
「在宅勤務時の労務管理をどうするか」という話題をネットで見ることがある。労務管理は組織が従業員に対して行うのが一般的な考え方であるので、ルールを決めれば実行できるように思う。
私はひとりで働いているからこそ、自分で自分の労務管理を行っている。特に健康上の理由もあって、働き過ぎないようには注意している。できるだけ簡便に時間も手間をかけないのがベストだ。
Googleカレンダーに予定とは別に、マイカレンダーで実績を記録している。仕事はメインの仕事とサブの仕事に分け、あとは休憩時間を記録するだけだ。メモの代わりに仕事内容も入力している。
半年ごとに、結果を表計算で分類していたこともあるが、今は色分けをざっと見て、メインが少ないとか、休憩が多いとか一目でわかるようになった。このぐらいなら多くの人ができると思う。
環境をわずかに変えてみる
労務管理とは、作業管理や進捗管理ではない。仕事をする環境をどれだけ維持できて、また仕事能力のベストの状態をどれだけ保てたかを管理するためだ。
もし仕事が思うようにいかないのであれば環境を変えてみることも重要だ。私の場合、仕事の効率が落ちてきたと感じたら、まず作業環境の見直しから始める。
例えば、デスクの向きを変える、椅子の高さを調整する、モニターの位置を変えるなど、小さな変化から試している。
自分のことは自分で
私も最初から今のような環境を整えることができたのではない。最初は、シンプルな環境を目指していたが、シンプルであるがゆえに探し物に時間を要していたことがあった。
また、パジャマで仕事をすると休憩モードにすぐ入ってしまったり、ビデオ通話で相手に「寝ていたのか」と思われたこともあった。食事も不規則になって、太ってしまったこともある。
自宅で仕事をするのであれば、本質的でプライベートな労務管理を行うべきだと思う。これができれば、自宅でも職場でも、環境さえ整えばどこでも仕事ができるようになる。
「自分のことは自分で」、これは職住隣接を成功させる鍵になる。既存の職住分離の習慣や制度に縛られることなく、自分に合った働き方を見つけることが、職住隣接のデメリットを解消する第一歩となる。
「自分のことは自分で」、これは職住隣接の基本である。既存の働き方や制度に縛られず、仕事と生活に自分らしい境界線を引くことで、職住隣接のデメリットを解消し、新しい働き方として確立できる。