共用スペースの目的~仕事と生活をつなぐ賢い使い分け

共用スペースの目的~仕事と生活をつなぐ賢い使い分け
M's Profile

共用と共有の違いを理解することで、仕事スペースと生活スペースを独立させること、共有スペースの視点を変えることの意味が分かってきます。

共用スペースの考え方

共用スペースの考え方をまとめるにあたり、再度、このブログ内での「共用」の使い方を確認しておきたい。

「共用」とは、目的や状況に関係なく、空間や設備を柔軟に共同利用することを指す。この考え方は、仕事と生活が密接に絡み合う職住隣接のライフスタイルにおいて特に重要である。

自宅の共用スペースとは、家族が共同で利用する、生活スペースの中の居間や台所、玄関や廊下、水まわりやトイレなどが対象になる。

職住隣接では仕事スペースと生活スペースを独立させることを基本としているので、この2つのスペースをつなぐ廊下やホール、共同利用する玄関が対象となる。

自宅以外に目を向ければ、地域コミュニティで利用する公共施設やコワーキングスペースなどがある。また、店舗や生活サービスも、多くの人が共用する場所として考えることができる。

さらに広い視点で考えると、自宅で一生を過ごす場合、子ども時代から社会人、高齢者になっても同じ場所で生活することになり、時代を超えて共同利用しているとも言える。実際に、3世代が暮らしている家もある。

このように、「共用」という考え方を狭い範囲で捉えるのではなく、「どのように共同利用できるか」という視点で考えることで、自宅や地域の新たな利用方法を見出すことができる。

人生後半戦と共用スペース

人生後半戦と共用スペースとの関係は、「共用」という考え方に大きく関係している。「共用」と類似した語句に「共有」があり、シェアという言葉でもよく知られている。

土地をを共有する、食べ物を共有するなど本来は所有を意味する語句なのだが、日常的には時間を共有する、情報を共有するなどのように所有ではなく、複数に人が同じ物や経験で得た感情や考え方を互いに持つという意味で使われている。

「共用」はオープンなので、プライバシー保護の基準は低く、代わりにモラルを守ることが要求される。「共有」はクローズドなので、プライバシーが重視され、モラルよりもルールを守ることが要求される。

このように、「共用」と「共有」は似ているようで、その性質や求められる行動基準が大きく異なります。しかし、現代社会ではこの2つの言葉が混同されることが多く、結果としてプライバシーやモラル、ルールが軽視される場面も少なくありません。

なんでもかんでも共有してはいけない

人生後半戦においては、「なんでも共有すれば良い」という考え方を見直すことが重要である。例えば、家族間であっても、すべての情報や感情を共有する必要はない。

むしろ、適切な距離感を保ちつつ、必要な部分だけを共有することで、お互いのプライバシーや心地よさを守ることができる。

仕事においても同様である。職住隣接の環境では、仕事と生活の境界が曖昧になりがちだが、公私混同を避けるためには、「共用」と「共有」の違いを理解し、それぞれに適した行動を取ることが求められる。

例えば、家族の話を仕事中に持ち込むことや、秘匿性の高い仕事の話を共用スペースで行うことは避けるべきである。

現在のような情報が溢れる時代では、「共用」と「共有」の違いを意識せずに行動することで、多くのリスクが生じている。特にSNSやデジタルツールの普及により、個人情報やプライバシーが簡単に露出してしまう可能性がある。

このような状況下では、「モラル」「プライバシー」「ルール」を意識しながら行動することがますます重要になる。

職住隣接の実現には理解が不可欠

人生後半戦という物差しは確かに曖昧ではあるが、この段階に達した多くの人は、モラルを守りつつプライバシーやルールにも配慮できる成熟した判断力を持っていると考えられる。

そのため、「共用」と「共有」の違いを理解し、それぞれに適した使い方を実践できる可能性が高いと言えるでしょう。

このような理解なしには、職住隣接というライフスタイルを実現することは難しい。「共用」と「共有」を混同してしまうと、公私混同や情報漏洩といった問題が発生しやすくなる。そのため、この違いを正しく認識し、それぞれの場面で適切な行動を取ることが求められる。

例えば、職住隣接では仕事スペースと生活スペースを分けることが基本だが、それだけでは不十分である。共用スペース(玄関や廊下など)でどのような行動を取るべきかについても配慮する必要がある。

具体的には、仕事上の機密事項については生活空間や共用スペースで話さない、公私混同につながる行動は避ける、といった基本的なルールを守ることなどがある。

職住隣接というライフスタイルは、自宅内に仕事スペースと生活スペースを独立して配置することから始まる。そして共用スペースを設けることで、両者の適切な距離感を保つことができる。

本来は生活スペースである自宅に仕事スペースを持ち込む際には、「共用」と「共有」の違いを常に意識することが重要である。そのために共用スペースを効果的に活用し、「共用」と「共有」という両者の境界を明確にすることを常に意識していただきたい。

職住隣接物語