くつろぎと休養の再定義~人生後半戦における心身の健康と幸福
生活スペースを目的別に分け、心身の健康を意識した暮らし方で、人生後半戦の自分らしい幸せな時間の過ごし方を考えてみませんか。
生活スペースを分ける
私の生活スペースを、家事、休養、多目的という3つの役割に分けている。それぞれのスペースは目的に合わせて道具や備品を置き、日々の生活にメリハリをつけるようにしている。
家事スペースでは、炊事や洗濯、掃除といった日常的な作業を行う。一方で、休養スペースは睡眠や入浴などの場所で、心身の健康を保つために欠かせない空間である。実際の間取りは水回りが集約されているため、入浴と睡眠のスペースが離れているのが難点だ。
多目的スペースは食事やストレッチなど、特定の目的に使うのではなく、柔軟な用途に使えるように家具を置かないようにしている。唯一、固定的な使い方としては食事を片隅で行っているくらいである。
このように、それぞれのスペースに役割を持たせることによって、道具や備品の整理整頓がしやすくなった。また、そのスペースにいることで、自然と生活モードに切り替わるようになった。
また、一日の中で時間帯ごとに使い分けることで、快適で充実した生活を送れるようになった。例えば、仕事を終えるのが13~14時なので、それ以降は生活スペースで過ごしたり、外出もこの時間帯に行う。
夕方17~18時に仕事スペースに戻り、雑用と翌日の準備を行う。その後、生活スペースに戻り、22時には睡眠スペースに入る。今後もこの生活パターンを繰り返していくつもりだ。
睡眠スペースに長くいるわけ
私が一日の中で最も長く過ごすのは、睡眠スペースである。現在の睡眠時間は6時間半から7時間だが、以前は7時間から8時間だった。年齢とともに短くなっているように感じる。
心臓に持病があるため、健康管理には特に気を使っている。血圧や心拍数、睡眠時の記録を日々行っており、睡眠不足を感じたときにはこれらの数値が悪化することが多い。そのため、睡眠環境を整えることに注力している。
また、ストレス管理も重要である。心臓を患ったのは、両親の介護による不規則な生活や精神的ストレスが原因の一つだと考えている。介護を日課としてこなしていたものの、自分の生活を犠牲にしているという思いがどこかにあり、無意識に頑張りすぎていたのだと思う。
ある日、担当医から「頑張らないでください」と言われ、それ以来「頑張らない、我慢しない、無理しない」を心がけるようになった。とはいえ、日々の仕事や生活でストレスを感じることはある。
そこで、睡眠スペースでは特に「頑張らない、我慢しない、無理しない」を実践し、寛ぐことにしている。とにかく心を落ち着かせ、今日一日を終えたことに感謝するようにしている。
この心がけのおかげで、ぐっすりと眠ることができ、しっかりと目覚めてから起床するようになった。その結果として、自然と睡眠スペースで過ごす時間が長くなっているのだ。
何を中心に据えて人生後半戦を過ごすか
「職住隣接」というライフスタイルは、自宅内に仕事スペースと生活スペースを分離して設けることを提案している。さらに私の場合は、生活スペースを目的別に分け、効果的に使えるようにしている。
また、このライフスタイルは、場所を分離することで仕事と生活のメリハリをつけると共に、目的別に時間を使うことで快適に暮らすことができることがわかってきた。
ひとつの場所をあらゆる用途で使うことを効率的と考えることもできるが、私の経験では、ひとつの場所を目的ごとに使い分けるほうが効果的だと感じている。
効果的な場所の使い方を行うためには、目的を明確にすることと、絞り込むことが必要である。私の場合は「仕事、生活、健康」の3つが自宅を利用する目的となっている。
人生後半戦は人生の残り時間を考え有効に使うようにしなければならない。そのためには時間を効率的に使うために、場所を効果的に使うという考え方をしている。
積極的な健康戦略と消極的な休養戦略
人生後半戦になると、加齢に伴う体調の変化を感じ、健康管理への関心が高まる。例えば、栄養バランスを考えた食事や、体力づくりのための運動、さらには精神的なストレス管理などがあげられる。
このように積極的な健康管理を行う一方で、睡眠やリラクゼーションといった消極的な健康管理もある。消極的とは、普段何気なく行っていることを健康管理の一環として意識的に取り入れることを指す。
最近の活動量計は運動時だけでなく、睡眠時のデータも幅広く取得できるようになっている。また、ストレス管理をサポートする機能もあり、リラクゼーション効果のある活動などの休養も勧められる。
このような考え方をすることで、積極的な健康管理を「健康戦略」とし、消極的な健康管理を「休養戦略」と呼ぶことができる。
休憩、休息、休養の違い
休養とは単に休むことではない。「休む」という言葉は休憩、休息、休養といった意味で使われるが、それぞれ異なる意味を持つ。継続している活動に対して一時的にやめるのが休憩であり、継続している活動自体をやめるのが休息になる。
一方で、休養とは継続してきた活動を止めるのではなく、「休養」という穏やかな活動に変えることを指す。例えば、疲れたり、気分転換のために休むのではなく、活動から離れて過ごすことが真の休養となる。
私はこの考え方を、「頑張らない、我慢しない、無理しない」という姿勢から学んだ。これにより、自分自身のペースで心身をリフレッシュし、新たな活力を得ることができている。
職住隣接は多機能よりも単機能優先
「職住隣接」とは、生活スペースと仕事スペースを明確に分けることで、それぞれの用途に応じた最適な環境を整えるライフスタイルである。
従来の生活スペースに対する考え方は、目的に合わせた設備や道具を揃えることで、多機能的に利用できるように効率的に設計されていた。
生活の中で多機能化が進む現代において、単機能に絞ることで効果を出すことが見直されている。例えば、スマートフォンやテレビは多くの機能を持つが、私はスマートフォン数台を用途別に使い分けている。
同様に、職住隣接でも生活スペースを単機能化することで、各スペースが持つ本来の役割を強化し、効果的な生活が可能になることを提案した。
ただし、都市部では必要最低限の物を備えることで柔軟な対応が可能であり、生活スペースを単機能化することは可能だが、郊外や地方ではそれぞれの地域特性に応じた工夫が求められるだろう。
このように、単機能化することで得られる利点は効率的な生活運営であり、多機能化は便利さを提供するが、目的が曖昧になり逆に効率を下げることもあることも忘れてはならない。
人生後半戦の生活スペースを再設計する
第4章では、「職住隣接」というライフスタイルがどのように生活スペースを最適化し、個々のニーズに応じた充実した暮らしを実現するかについて考察してきた。
これにより、仕事と生活のバランスを取りながら、効率的で効果的な生活が可能になることを示した。
人生後半戦を迎えるにあたり、自宅に求めるスペースの優先順位を明確にし、それに基づいた再設計を行うことが肝要である。
このプロセスは、単なる空間の見直しではなく、心身の健康と幸福(wel-being)を追求するための重要なステップとなるだろう。