生活時間の使い方を変える~豊かな時間を生み出す発想の転換

生活時間の使い方を変える~豊かな時間を生み出す発想の転換
M's Profile

人生後半戦の時間の使い方を見直し、生活スペースでの過ごし方について、スペースの余白と時間の余白の視点からも考えてみました。

生活時間の使い方を変える~豊かな時間を生み出す発想の転換

    生活スペースで過ごす時間

    人生後半戦になると、「いつ誰と過ごそうか」「誰とどこで過ごそうか」という考えが頭をよぎるようになる。これは、自己と他者との人間関係を中心に考えることが多くなるからだ。

    社会的存在としての自分を意識し始めるこの時期、私たちは社会の中での自分のあり方だけでなく、社会制度の中で自分の時間の使い方についても改めて考え直すようになる。

    多くの人は、社会制度に従いながら平均的な生活スタイルを無意識に続けている。例えば、毎朝決まった時間に起きて仕事に行き、夜になれば眠るという日常である。

    その合間に自分の時間を差し込んでいることが多いだろう。しかし、自分の時間を最初に考え、その上で起きる時間や働く時間、眠る時間を考える人は少ないと思われる。

    生活スペースで過ごす時間が徐々に長くなるこの時期、自分自身の時間を中心に考えることが必要になってくる。大切なのは、誰と過ごすかではなく、自分がいつどこで過ごすかということである。

    人生後半戦では特に、自分自身のために時間をどう使うかが重要である。定年や引退後も同じ生活リズムを続けるのではなく、新しいライフスタイルを模索してみてはどうだろうか。

    生活スペースを時間配分で考える

    基本的な生活スペースとは、1)台所を含む食事と水回り関連のスペース、2)居間を中心とした生活の中心となるスペース、3)睡眠を中心に行うためのスペースになる。

    これらはどの住居にも存在するが、独立しているかどうかは問わない。また、個人のスペースは家族構成によって異なるため、ここでは基本スペースに含めない。

    まず、自分がどれくらいの時間をこれらの基本スペースで過ごしているか見直してみよう。

    私の場合、合計時間で、仕事スペースで6時間、共有スペースで1時間、風呂や洗面、洗濯スペースで1時間、台所で1時間過ごしている。寝室(睡眠スペース)では夏は6時間、冬は8時間過ごし、残りの時間は居間(多目的スペース)や屋外で過ごしている。

    自分の時間配分を見直す

    このように自分の時間配分を振り返ることで、自分の生活スタイルが見えてくる。

    以前は仕事スペースにいる時間が長く、寝室にいる時間が短かったため、居間はあまり活用しなかった。その結果、多目的スペースとして配置換えを行い、自分の生活に合った空間を作り出した。

    誰とどこで過ごすかを考えるとき、居間や個室が生活の中心になりがちである。しかし、使わないスペースが多いということは、自宅を効果的に活用できていないとも考えられる。

    人生後半戦では、居間を生活時間の中心から外してみることで、新しいライフスタイルを考える転機となるだろう。例えば、家族がそろったときはみんなで料理を行うことや、寝室には1人用の読書椅子を置くなどだ。これは実際に私が行っていることでもある。

    変えられること 変えられないこと

    人生後半戦のライフスタイルを考える際には、「変えられること」と「変えられないこと」があることを理解しておく必要がある。例えば、生活スペースそのものは簡単には変えられないが、生活スペースでの時間の使い方は比較的自由に変えることができる。

    もちろん、生活スペースも配置替えやリフォームによって変えることは可能だが、それには時間や費用がかかり、すぐに実行するのは難しい場合もある。また、住んでいる地域を変えるのも簡単ではない。

    一方で、時間の使い方は自分の工夫次第で大きく変えることができる。たとえ他者との関わりがある場合でも、生活スペースの使い方を見直して、物理的な移動を伴わずに新しいライフスタイルを実現することも可能である。

    スペースの余白と時間の余白

    時間の使い方を変える手順は、空間の使い方を変える手順とよく似ている。例えば、生活スペースという空間の使い方を変えるために家具の配置替えをすることがある。

    このとき、まず行うべきは不要な家具を取り除き、「何も置かない場所」を作ることだ。この「空間の余白」が広ければ広いほど、家具の配置替えがしやすくなり、新たな使い方も可能になる。

    同様に、時間の使い方を考えるときも同じ手順で進めることができる。まず不要な時間、つまり無駄な時間を取り除き、「時間の余白」を作る。時間の余白が大きければ大きいほど、新しい時間の使い方が容易になる。

    そして、この考え方の基礎となるのが、「変えられること」と「変えられないこと」の区別である。この区別をしっかりと意識することで、自分にとって最適なライフスタイルを築くための思考が可能になる。

    時間は誰にでも平等という考え方

    「時間は誰にでも平等、1日経てばまた24時間が与えられる」という考え方は、これは時間を受け取る側の視点であり、与える側としての視点ではない。そもそも時間は誰が与えているのだろうか。

    時間を与えているのは自分自身であり、時間を受け取るのも自分自身である。このように考えることができれば、ライフスタイルを変えることの第一歩となる。

    ライフスタイルにはいろいろな要素があるが、時間の使い方が最も重要である。自分自身に時間を与えるとは自分の時間として人生を送るということである。

    自分の人生は24時間ごとに毎日追加されるものではなく、与えられ続ける先に何があるのか、何をしたいのかを見つけることができれば、時間を有効に使えるようになる。

    つまり、与えられた時間の先にある未来から、逆算して現在の時間の使い方を考えるのだ。時間は誰かから毎日与えられるものではなく、自分で自分に時間を与えていることを忘れてはいけない。

    時間を与えるではなく、時間を共有する

    このように時間を与えるだけでなく、自分で時間をコントロールできるようになれば、周りの人々と時間を共有することも可能になる。それは単なる時間の分配ではなく、本当の意味での時間の共有になる。

    生活スペースでの時間の使い方も、自分の時間を何に使うのかから考え始めることになる。このときに、「何を、どのように、なぜ」という問いと「誰と、いつ、どこで」という問いの両方を考えなければならない。

    この問いの繰り返しが、より豊かな時間の使い方につなげ、行動を起こすことでライフスタイルが作られていくと私は考えている。

    職住隣接物語