自発的な働き方への転換 ~ 変わるのを待つより自ら変える時代へ

自発的な働き方への転換 ~ 変わるのを待つより自ら変える時代へ
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今まさに時代の節目に差し掛かっています。世界はパラダイムシフトを迎えているのに、日本はまだぬるま湯のの中にいるのでは?

自発的な働き方への転換 ~ 変わるのを待つより自ら変える時代へ

今まさに時代の節目に差し掛かっている。世界は経済、軍事、IT産業の大国に力が偏り、個人は資産家と特権階級に富が偏っている。その一方で極貧の人々が存在する。

このような中で日々の仕事や生活について論じても、社会としてではなく個人の現在の意向を語るだけで、未来の社会や自分自身の姿は見えてこない。それでも私たちは日々働き、暮らしていかなければならない。

日本国内に目を向ければ、新型コロナ禍が落ち着き、やがて2年の歳月が経つ。その間にも、自然災害が発生し、少子化と高齢化はますます進んでいる。円安の影響でGDPは回復し、インバウンド観光客も増えている。

新型コロナ前に戻ったかと言えば、そのようなことはない。すべての団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題で、労働力不足、医療人材不足、社会保障費の増大が現実になっている。

新型コロナ前の社会に戻ることはない。時間は進み、時代は変わり、かつての未来は現実になっている。そろそろ世の中を変えるのではなく、自分自身を変えなければならない時期を迎えているのだ。

働き方が変わってきた

近年、働き方に対する意識が大きく変化しているのに気づいているだろうか。かつては企業が決めた勤務形態や就業場所に従い、与えられた環境の中で働くことが当たり前だった。

しかし、現在、多くの人が自らの働き方を主体的に選び、「自発的な働き方」を求めるようになっている。標準的な在宅勤務を始め、短時間アルバイト、スマホアプリでの営業管理や労務管理が次々と登場している。

この意識改革の背景には、スマートフォンをはじめとするICT(情報通信技術)の普及がある。かつては「ICTを学ぶ」ことに重点が置かれていたが、今では「ICTを使う」ことで何ができるかに価値を見出すようになった。

スマホの普及により、いつでもどこでも情報にアクセスできる環境が整い、場所や時間に縛られない情報収集と情報発信が可能になった。この実体験がプライベートだけではなく仕事でも同じようにできると考えるのが自然である。

このことが、若年層からは始まり、世代を超えて多くの人々に「自分の能力を発揮できる環境を自発的につくる」という意識を芽生えさせたと考えられる。

自発的な働き方への転換

この「自発的な働き方への転換」は、従来のワークライフバランスという考え方とは異なる。ワークライフバランスは仕事と生活の時間配分や調和を重視する考え方だが、現在では新型コロナ前ほど聞かれなくなった。

その理由は、人々が単なる時間調整やバランス調整ではなく、自分自身の働き方に関心を持ち、自分自身の能力を発揮できる環境を求めるようになったからである。

「自発的な働き方」で特徴的なのは、自分で働く環境と自身の能力をマッチングし、最大限に発揮できる組み合わせを選ぶ点である。これはデジタルネイティブ世代だけではない。

新社会人となったZ世代1が3年以内に3割退職する理由は『キャリアと個人成長』である。このような不安と不満は、なにも今始まったことではない。違うのは、不安や不満があれば、次のマッチングを試すことができるようになったのだ。

1つの職場でじっくりと1つの仕事が身につくまで忍耐や辛抱、根性で続けるという考え方だけではなく、「タイパ2」「コスパ3」といった効率性や即応性を重視する時代になったのである。

新しい働き方には新しいルールが必要

時代の変化とICTの進化により、働く場所と時間に対する考え方が大きく変わった。テレワーク、在宅ワーク、在宅勤務、リモートワークといった多様な勤務形態が広まり、それぞれが異なる特徴を持つ。

これらは契約形態や事業形態とは異なる視点で捉えられるべきものであり、新しい働き方を支える基盤となる。

自発的な働き方への転換には課題も伴う。通勤時間の短縮や身だしなみへの手間が省けるといった変化は歓迎される一方で、起床時間や休憩時間が曖昧になることや、コミュニケーション不足による孤立感などの問題もある。

このような問題は、新しい働き方の目的ではなく結果として生じたものであり、本質的な課題解決には新しいルールが必要だ。

現在の労働基準法では、多様な勤務形態に対する明確な基準が定められておらず、企業側が一方的に条件を決定するケースも少なくない。

自発的な働き方を実現するには、企業と労働者双方が協力してルール作りに取り組む必要がある。既存のルールに付け加えるのではなく、新しい働き方には新しいルールを中心に考えなければならない。


タイパ・コスパ・Z世代とは?

  1. Z世代(ゼットせだい)
    1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代。デジタルネイティブとして育ち、多様性や柔軟な働き方を重視する傾向がある。
    ↩︎
  2. タイパ(タイムパフォーマンス)
    時間効率を重視する考え方。短期間でスキルアップできる仕事や即戦力として評価される環境が求められる。 ↩︎
  3. コスパ(コストパフォーマンス)
    費用対効果を重視する考え方。収入や労力のバランスが取れた効率的な環境が求められている。
    ↩︎
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